前々から気になっていたパン屋があった。
ただ近くに美味いパン屋があり、そこで買ってばかりでなかなか買う機会がなかった。
その気になっていたパン屋は、パン以外にも弁当や総菜、お菓子も売っており、そちらで寄ったことはある。しかし値段が安く、「どうせ大して美味しくないだろう」と思っていた。
だが今回、意を決して買ってみた。
本当に不味かった。
総菜パンはまだいい。食パンが致命的に不味い。その日の焼きたてのパンを買ったはずなのに、何の香りもしない。口に入れたとき、まるでスポンジを食べたかのような感じ。
味、食感、香り。全て赤点。
残ったパンを前に、「これを食べ切らないといけないのか」という気持ちを持ったのは初めて。
損した気持ちになったが、同時に晴れやかな気持ちでもあった。
不味いだろうという憶測が、不味いという確信に変わった。
それが分かっただけでも儲けもの。
そのすっきり感が心地よい。
そのパン屋でパンを買うことは二度とないだろう。そこに何の憂いもない。
残ったパンは、業スーのホイップフローズンクリームで味を上書きして食べている。
食パンはそのままが一番うまいと豪語するぼくだが、このパンだけは無理。
それではまた。
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